この記事はこんな人におすすめです
- ヴィーガンとベジタリアンの明確な違いをわかりやすく知りたい人
- 菜食に興味があるけれど、何から始めればいいか迷っている人
- 健康や環境のために、少しだけお肉を減らす生活をしてみたい人
- 厳しいルールに縛られず、ゆるく無理なく続けるコツを知りたい人
- 25年長く続けてわかった、菜食のリアルな体験談を読んでみたい人
ヴィーガンとベジタリアンの基本的な違い

ヴィーガン(完全菜食主義)とは
ヴィーガンは動物性食品を一切摂取しない完全菜食主義者を指します。肉・魚はもちろん、卵・乳製品・はちみつなどの動物由来の食品をすべて避けるのが特徴です。
食べないもの: (肉類、魚介類、卵、乳製品、はちみつ、ゼラチン)
食べられるもの: (野菜・果物、穀物、豆類・ナッツ、きのこ・海藻、植物性油脂)
食事以外でも避けるもの: ヴィーガンは食べ物だけでなく、動物を犠牲にした製品全般を避けるのも大きな特徴です。
- 毛皮・レザー(革製品)
- ウール・シルクなどの動物性素材
- 動物実験をしている化粧品・日用品
このように、ヴィーガンは「食事」にとどまらず、暮らし方そのものに動物への配慮が及ぶ点が、ベジタリアンとの大きな違いです。
ベジタリアン(菜食主義)とは
ベジタリアンは菜食主義者の総称で、実は非常に多くの種類があります。基本的には肉類を避ける食生活ですが、卵や乳製品については個人の選択によります。

1. ラクト・オボ・ベジタリアン
- 最も一般的なベジタリアン
- 肉・魚は食べないが、乳製品と卵は摂取
- 栄養バランスが取りやすく、初心者におすすめ
2. ラクト・ベジタリアン
- 肉・魚・卵は食べないが、乳製品は摂取
- インドなど宗教的理由で実践する人が多い
3. オボ・ベジタリアン
- 肉・魚・乳製品は食べないが、卵は摂取
- 比較的珍しいタイプ
4. ペスカベジタリアン
- 肉類は食べないが、魚・卵・乳製品は摂取
- 日本の食生活に適応しやすい
5. フレキシタリアン
- 基本は菜食だが、状況に応じて動物性食品も摂取
- 『柔軟な』という意味の『フレキシブル』が語源
- 無理なく続けられる現代的なスタイル
ヴィーガンとベジタリアンの違いを徹底比較
ライフスタイルへの影響
ヴィーガン:
- 食事だけでなく、生活用品にも影響
- 革製品、ウール、シルクなどの動物由来製品を避ける
- 動物実験をしていない化粧品や日用品を選択
- 思想・哲学としてのライフスタイル
- (実体験:私自身も、ヴィーガンになってから皮製品は一切購入していません)
ベジタリアン:
- 主に食事に関する制限
- 生活用品への制限は個人の判断
- 健康目的での実践が多い
それぞれのメリット・デメリット
ヴィーガンのメリット 動物を犠牲にしないという価値観を、食事にも暮らしにも一貫して反映できます。環境負荷が小さいこと、生活習慣病のリスクが下がりやすいことも、よく挙げられます。
ヴィーガンのデメリット 外食や旅行先で選択肢が限られること、ビタミンB12など不足しやすい栄養素に注意が必要なこと、周囲の理解を得にくい場面があること。私自身、出汁に魚が使われている料理が多い日本では、外食で完全に貫くのは難しいと感じています。
ベジタリアンのメリット 卵や乳製品を摂れるぶん、栄養バランスが取りやすく、料理の幅も広い。外食でも選択肢が見つけやすく、初心者でも続けやすいのが利点です。
ベジタリアンのデメリット 卵や乳製品が摂れるぶん手軽な反面、チーズや牛乳などの乳製品に頼りすぎてしまう傾向があります。
私の実体験:動物愛護から始まった菜食の旅
私は子どもの頃から動物が大好きでした。それなのに、20代の頃はステーキが大好物。動物を愛しながら、お肉を食べている——その矛盾に、長いあいだ気づかずにいました。
転機は、ある一冊の本でした。「人間は本来、肉食のために作られた体ではない」「動物を傷つけない生き方が大切だ」という考えに触れたとき、ずっと目を背けてきた自分と、ようやく向き合えたのです。
スヌーピーが好きだから犬を食べない。では、牛や豚や鶏は? 彼らも同じように、感情を持ち、痛みを感じ、生きたいと願っている命です。ペットか家畜かを分けているのは、人間の都合にすぎない——そう気づいたとき、答えはシンプルでした。「動物が好きなら、動物を食べない」。それが、私の出した答えでした。
その後、動物の倫理的な扱いを求める団体・PETAの会員になり、20年以上たった今も支援を続けています。
完璧じゃなくていい、と知るまで
正直に言うと、この25年間、ずっと完璧だったわけではありません。ベジタリアンだった時期も、魚を食べるペスカベジタリアンの時期もありました。
ある時期は「自分の手で責任を持っていただけるものだけを食べる」という考えから、魚は食べていました。けれども、魚もまた痛みを感じるという研究を知り、考えが変わりました。「責任を持てるかどうか」以前に、魚もまた、痛みや苦しみを感じる存在なのだ、と。そこから、再びヴィーガンに戻りました。
長く続けてわかったのは、「完璧じゃなくていい」ということ。ガチガチにルールで縛るのではなく、できる範囲で、心地よく。自分を責めない。それが、25年続けてこられた一番の秘訣です。
私がヴィーガンになるまでの物語は、note に詳しく綴っています。
ヴィーガン・ベジタリアンの健康への影響
菜食には、科学的に確かめられた健康効果がある一方、気をつけたい栄養面の注意点もあります。
両方を正しく知っておくことが、安全に続けるコツです。
研究でわかっている健康効果
86の横断研究と10の追跡研究をまとめた大規模なメタ分析では、菜食やヴィーガン食に、次のような効果があると報告されています。
- 虚血性心疾患(心臓の病気)の発症・死亡リスクの低下
- 総コレステロール・LDLコレステロールの低下
- BMI(体格指数)や血糖値の改善
- 総がんの発症リスクの低下(特にヴィーガン)
こうした効果は、主に動物性の脂(飽和脂肪)の摂取が減り、野菜・豆類・果物などをたくさん食べることによるものと考えられています。
出典:Dinu M, et al. “Vegetarian, vegan diets and multiple health outcomes.” Critical Reviews in Food Science and Nutrition (2017)
気をつけたい栄養素
一方で、動物性食品を控えると、不足しやすい栄養素があります。特に次の栄養素は意識して補いましょう。
ビタミンB12 植物性食品にはほとんど含まれず、最も不足しやすい栄養素です。サプリメントや栄養強化食品で補うのが確実です。海苔などの海藻にも含まれますが、量は安定しません。
鉄分大豆製品(納豆・豆腐)、レンズ豆などの豆類、小松菜やほうれん草などの青菜、切り干し大根などから摂れます。ビタミンC(野菜や果物)と一緒に摂ると、吸収率が上がります。
※鉄分補給にひじきがよく挙げられますが、ひじきは無機ヒ素を含むため、毎日大量に食べるのは避け、いろいろな食材からバランスよく摂るのがおすすめです
カルシウム 小松菜、チンゲン菜、ごま、豆腐、カルシウム強化豆乳などから。
タンパク質 大豆製品(豆腐・納豆・豆乳)、豆類、ナッツから。穀物と組み合わせると、必須アミノ酸を補い合えます。
オメガ3脂肪酸 チアシード、くるみ、亜麻仁などから。
安心して続けるために
菜食を健康的に続けるコツは、「不足しやすい栄養素を、食事やサプリで意識して補うこと」です。特にビタミンB12は、ヴィーガンの場合サプリメントでの補給が広く推奨されています。
ただし、妊娠中・授乳中の方や、お子さんの場合は、より慎重な栄養管理が必要です。また、持病のある方が食生活を大きく変えるときは、自己判断せず、必ず医師や管理栄養士に相談してください。
なお、私自身も、油の摂り方など、日々の食生活で個人的に工夫していることがあります。そうした試行錯誤については、noteで綴っています。ただし、これはあくまで私個人の実践で、体質には個人差があることをご理解ください。
世界と日本のベジタリアン事情
菜食がどれくらい広まっているかは、国によって大きく異なります。世界のベジタリアン人口の割合を見てみましょう(調査機関や年によって数字に幅があるため、おおよその目安です)。
インド(約30〜40%) 不殺生を重んじるヒンドゥー教・仏教・ジャイナ教の影響で、菜食が文化として深く根づいています。世界で最もベジタリアンが多い国です。
イスラエル(約13%) 中東の菜食ムーブメントの先進国。特にテルアビブは「世界のヴィーガンの首都」とも呼ばれています。
台湾(約12〜14%) 仏教の精進料理の伝統があり、菜食レストランが非常に充実しています。
イタリア(約10%) ヨーロッパの中でも菜食が多い国。健康志向と動物福祉への関心が背景にあります。
ドイツ・オーストリア(約9%) 特にドイツは、国民の6割以上が「肉を減らしたい」と考えるほど関心が高く、植物性食品の開発も世界をリードしています。
イギリス(肉を食べない人は約14%) ヴィーガン発祥の地。ベジタリアン・ヴィーガン・ペスカタリアンを合わせると、人口の約14%が肉を食べない食生活を送っており、特に若い世代で急増しています。
アメリカ(約6%) 数字としては中くらいですが、若い世代を中心に菜食が広がり、植物性食品の市場が非常に大きく成長しています。
日本(約6%) ベジタリアン(ヴィーガンを含む)の割合は約6%。意識して動物性食品を減らす人は増えており、関心は年々高まっています。
出典:World Animal Foundation、Finder(英国, 2025年)、Vegewel「第4回 日本のベジタリアン・ヴィーガン・フレキシタリアン人口調査」(2023年)ほか
数字だけではわからない、本当の違い
ただ、ここでひとつ、正直にお伝えしたいことがあります。
数字の上では、アメリカと日本のベジタリアン率は同じくらいに見えます。でも、両方の国で長く暮らしてきた私の実感は、まったく違います。
アメリカ、特にニューヨークでは、ヴィーガン・ベジタリアン向けの選択肢が驚くほど豊富でした。スーパーには植物性ミルクや代替肉がずらりと並び、どんなレストランにもベジタリアンメニューが当たり前にあります。
一方、日本はまだまだ「肉食文化」が根強いのが実感です。外食でヴィーガン対応を見つけるのはひと苦労で、出汁に魚が使われていることも多く、徹底するのは簡単ではありません。統計の数字以上に、社会への浸透度には大きな差があると感じています。
とはいえ、その日本も、この数年で確実に変わってきています。植物性ミルクなどがスーパーに並ぶようになり、選択肢は少しずつ増えてきました。これからの広がりに期待しています。
【初心者向け】菜食の始め方とステップアップのコツ
私自身は、いきなり厳格なヴィーガンとしてスタートしました。情熱があったからこそですが、振り返ると、もう少し肩の力を抜いてもよかったな、とも思います。だからこそ、これから始める方には、無理なく、自分のペースで進めることをおすすめします。

段階的に始めるのがおすすめ
ステップ1:まずは「ゆるく」始める 週に1〜2日だけ、肉を使わない日(ミートフリーデー)をつくる。あるいは、牛乳を植物性ミルクに替えてみる。こんな小さな一歩で十分です。
ステップ2:ペスカベジタリアン・ベジタリアンへ 慣れてきたら、肉を控えて魚や卵・乳製品は摂るスタイルに。外食の選択肢も多く、無理なく続けられます。
ステップ3:ヴィーガンへ 動物性食品を控える生活へ。栄養の知識(特にビタミンB12)を身につけ、必要に応じてサプリも取り入れながら、自分のペースで。
無理なく続けるコツ
- 完璧を求めない:100点でなくていい。外食では柔軟に、できる範囲で。
- 栄養を知っておく:不足しやすい栄養素を知り、食事やサプリで補う。
- おいしい楽しみを見つける:新しい食材やレシピにチャレンジすると、続けるのが楽しくなります。
- 仲間を見つける:SNSやブログで、同じ志の人とつながると、心強いです。
完璧主義にならず、「できることから、少しずつ」。それが、長く続ける一番の秘訣です。
よくある質問
Q. いきなりヴィーガンになっても大丈夫? 体調や続けやすさを考えると、段階的に進めるのがおすすめです。まずは週に数日の「肉なし日」から始めて、少しずつ慣れていくと、無理なく続けられます。
Q. 外食のときはどうすればいいですか? 事前にお店のメニューを調べておくと安心です。日本では出汁に魚が使われていることも多いので、完璧を求めすぎず、できる範囲で選ぶのがコツ。私自身も、外食では柔軟に対応しています。
Q. 栄養不足が心配です。 特にビタミンB12、鉄分、カルシウムは不足しやすいので、食事やサプリで意識して補いましょう。体調の変化に気を配り、不調を感じたら無理をせず、必要に応じて専門家に相談すると安心です。なお、妊娠中・授乳中の方やお子さんは、自己判断せず、医師や管理栄養士に相談してください。
Q. 家族の理解が得られません。 無理に勧めるより、自分の体験や変化を穏やかに伝えるのがいいと思います。おいしい菜食料理を作って一緒に食べてもらうと、自然と理解が深まることもあります。
まとめ|自分に合ったスタイルを見つけよう
ヴィーガンとベジタリアンの一番の違いは、動物性食品をどこまで避けるか、そして食事だけでなく暮らし方全体に及ぶかどうかです。でも、どちらが正解ということはありません。
大切なのは、自分の体と心に合ったスタイルを、無理なく選ぶこと。いきなり完璧を目指さなくても、週に一度の「肉なし日」から始めるだけで、十分に意味のある一歩です。
動物が好きだから始めた私の菜食生活も、25年かけて、ようやく「完璧じゃなくていい」と思えるようになりました。あなたも、自分のペースで、心地よい食との向き合い方を見つけてみてください。
参考文献・出典
ヴィーガン・ベジタリアンの健康効果について Dinu M, Abbate R, Gensini GF, Casini A, Sofi F. “Vegetarian, vegan diets and multiple health outcomes: A systematic review with meta-analysis of observational studies.” Critical Reviews in Food Science and Nutrition, 2017; 57(17): 3640-3649.
菜食の栄養(不足しやすい栄養素)について Clarys P, Deliens T, Huybrechts I, et al. “Comparison of nutritional quality of the vegan, vegetarian, semi-vegetarian, pesco-vegetarian and omnivorous diet.” Nutrients, 2014; 6(3): 1318-1332.
ドイツ栄養学会(DGE)ヴィーガン食に関するポジションペーパー
世界のベジタリアン人口について World Animal Foundation「Countries With The Most Vegetarians」
Finder「UK diet trends」(2025年)
日本のベジタリアン・ヴィーガン人口について Vegewel(株式会社フレンバシー)「第4回 日本のベジタリアン・ヴィーガン・フレキシタリアン人口調査」(2023年1月)
世界各国のベジタリアン人口比率について 観光庁「飲食事業者等におけるベジタリアン・ヴィーガン対応ガイド」

