世界のきゅうり品種一覧|日本と海外の特徴・味わいを徹底比較
【きゅうりシリーズ第2回】
家庭菜園で育てるきゅうり、どんな品種を選べばよいか迷っていませんか?
実は、スーパーで見かけるきゅうりは、数ある品種の中のほんの一部にすぎません。世界には、形・色・味・育てやすさなど、それぞれに個性をもったきゅうりの品種がたくさん存在しています。
本記事では、日本や世界で栽培されている代表的なきゅうりの品種を、特徴やおすすめの食べ方とともにご紹介します。家庭菜園初心者にもわかりやすく解説していますので、自分にぴったりの品種選びの参考にしてみてください。
前回の記事「きゅうりって英語でキューカンバー?英語での呼び名から栄養まで」では、きゅうりの基本情報や栄養についてお届けしました。今回は第2回として、世界のきゅうり図鑑をお楽しみください。
あなたのお気に入りの品種や、これまで知らなかった珍しいきゅうりが見つかるかもしれません。家庭菜園やキッチンでの新しい発見につながる情報をお届けします。
※きゅうりシリーズ全3回:
第1回:きゅうりって英語でキューカンバー?英語での呼び名から栄養まで
第2回:世界のきゅうり図鑑 〜品種と美味しい食べ方〜(本記事)
第3回:初心者からできる!オーガニックきゅうりの育て方完全ガイド
「【家庭菜園向け】きゅうりの人気品種ランキングと選び方
きゅうりの品種はたくさんありますが、その中でも人気・定番のおすすめ品種をランキング形式でご紹介します。
栽培のしやすさ・食味・流通量・家庭菜園での人気などをもとに、総合的に評価したランキングです。
第1位:ブルームレスきゅうり
現在の市場の主流。白イボ系の系統をベースにしたブルームレス品種で、表面に白い粉(ブルーム)が出ないため見た目が美しくて日持ちが良く、サラダや生食に最適です。

第2位:四葉(すうよう)きゅうり
昔ながらの風味が楽しめる品種。パリッとした歯ごたえと柔らかな皮で、漬物や浅漬けに特に人気があります。
家庭菜園でも根強いファンが多い品種です。
第3位:マーケットモア
海外でも栽培されている人気品種。果肉がしっかりしており食べごたえがあるため、サラダやサンドイッチに向いています。
家庭菜園でも丈夫で育てやすく、ビギナーにもおすすめです。

第4位:ミニきゅうり(ベビーきゅうり)
スナック感覚で食べられる小型のきゅうり。見た目の可愛さと、味噌やディップとの相性の良さで人気急上昇中。
小スペースで育てられることも魅力です。

第5位:レモンきゅうり
黄色くて丸いユニークな見た目が特徴の珍しい品種。
サラダやピクルスに使うと彩りが増し、個性を出したい方におすすめです。家庭菜園でのアクセント品種としても人気です。

きゅうりの品種一覧と種類|世界にはこんなにある!
🌍コラム:世界のきゅうりは何種類あるの?
「きゅうりって、実際どれくらい種類があるの?」と気になった方もいるかもしれません。実は、スーパーでよく見るきゅうりは、全体のほんの一部。世界には驚くほど多くのきゅうりの品種が存在しています。
国際的に明確な統計はありませんが、農業研究機関や種苗メーカーなどのデータから推定されているのは──
✅ 世界で栽培されているきゅうりの品種は300〜400種類以上
✅ 種苗会社の品種や在来種・改良種を含めると、1000種類以上にのぼるとも言われています
特にきゅうりの原産地であるインドや、中国・ロシア・アメリカなどでは、それぞれの気候や文化に合わせて多彩な品種が育まれてきました。
では、日本ではどうでしょうか?
✅ 日本国内で流通している主要品種は約50〜100種類
✅ さらに、各地に伝わる伝統的な在来きゅうりは30〜50品種以上
合計すると、日本国内にはおよそ100〜150種類のきゅうりが存在すると考えられています。
普段目にするのはその中の一部でも、実は奥深いきゅうりの世界。ぜひこの機会に、いろいろな品種に目を向けてみてください。
🔸 日本でよく見られるきゅうりの種類
系統(分類) | 主な品種例 | 特徴・補足 |
---|---|---|
白イボ系(華北系) | ・ブルームレスきゅうり ・一般的な白イボきゅうり | 日本の主流。果皮が薄く歯切れよく、みずみずしい。ブルームレスは改良種。 |
黒イボ系(華南系) | ・伝統的な黒イボきゅうり | 皮がやや厚く苦味あり。現在は少数派。漬物用に一部で栽培。 |
四葉系 | ・四葉(すうよう)きゅうり | イボが多く皮がやわらかい。昔ながらの風味が人気。漬物に最適。 |
イボなし系 | ・フリーダムなど | 表皮がツルツルでなめらか。サラダ・カット用に◎。 |
小型種(サイズ分類) | ・ミニきゅうり ・ベビーきゅうり | サイズの分類。白イボ系・イボなし系の小型タイプ。スナック向き。 |
🔸 日本の伝統在来品種(一部ご紹介)
地域ごとに受け継がれる伝統的なきゅうりも魅力です。
品種名 | 特徴 |
---|---|
勘次郎胡瓜(山形県) | フルーツのような甘みとやわらかい果肉が特徴の伝統野菜。 |
馬込半白胡瓜(東京都大田区) | 先端が白く、歯ごたえの良い伝統品種。漬物に最適。 |
加賀太胡瓜(石川県) | 大型で太い。煮物や炒め物向き。加賀野菜として知られる。 |
大和三尺胡瓜(奈良県) | 長さ90cm以上になることもある大型品種。奈良漬けによく使われる。 |

地域別|日本全国の伝統きゅうり品種一覧
地域 | 品種名 | 都道府県 | 特徴 | 活用法 |
---|---|---|---|---|
北海道・東北 | 会津きゅうり | 福島県 | 太めで短く、歯ごたえが良い | 粕漬け・味噌漬け |
北海道・東北 | 南部きゅうり | 青森県 | イボが細かく、皮が薄い | 生食・漬物 |
関東 | 馬込半白胡瓜 | 東京都 | 先端が白く美しいグラデーション | 漬物に最適 |
関東 | 三浦きゅうり | 神奈川県 | イボが多く、肉厚でみずみずしい | サラダ・酢の物 |
中部・北陸 | 加賀太きゅうり | 石川県 | 太く大型で30cm以上 | 煮物・炒め物など加熱調理 |
近畿 | 大和三尺きゅうり | 奈良県 | 90cm以上になる超大型品種 | 奈良漬け |
近畿 | 庄屋大長きゅうり | 大阪府 | 細長く、滑らかな表皮 | 漬物・煮物 |
中国・四国 | 金勝きゅうり | 岡山県 | 細長く黒イボが特徴 | ぬか漬け |
九州・沖縄 | 蔵王きゅうり | 熊本県 | 細長く歯切れが良い | 生食・漬物 |
九州・沖縄 | 島きゅうり/島ウリ | 沖縄県 | 太く短い形状・表面にイボ | チャンプルー等郷土料理 |
🔸 海外で見られるきゅうりの品種
品種名 | 特徴・用途 |
---|---|
コルニション(Cornichon) | フランスでピクルス用に使われる小型品種。酸味のある漬物に最適。 |
マーケット・モア(Marketmore) | 北米で普及。果肉がしっかりしており、日本でも一部で栽培。 |
ロシアきゅうり | 太めで短く、歯ごたえがしっかり。加熱にも生食にも利用される。 |
モーウィ(毛瓜) | 沖縄で栽培される伝統野菜。皮が淡褐色で、炒め物や煮物向き。 |
カラフル・珍しいきゅうり品種特集
カラフルなきゅうり品種一覧
品種名 | 特徴・ポイント |
---|---|
白秀(はくしゅう) | 先端から半分が白く、残りが緑のグラデーション |
馬込半白胡瓜 | 先端が白く、根元に向かって緑色になる伝統品種 |
レモンきゅうり | 丸くてレモンのような見た目、マイルドな味わい |
イエロードラゴン | 黄色い実が特徴的で、生食向き |
黄色の大長きゅうり | 細長い形状で黄色い実、ピクルスに適している |
アーメニアンキューカンバー | 薄紫〜深緑色の縞模様がある長形品種 |
ロシアンブラウン | 褐色の表皮を持つ珍しい品種 |
メキシカンソウアガーキン | 深緑色で表面に突起があり、見た目が独特 |
形で楽しむきゅうり品種一覧
品種名 | 特徴・ポイント |
---|---|
クリスタルアップル | リンゴのように丸い形状、白〜淡緑色 |
ラウンドレモン | レモンサイズの小型で丸い品種 |
カクテルきゅうり | 小さな球形で、一口サイズのピクルスに |
曲がりきゅうり | 意図的に曲がった形に育てる技術で作られた品種 |
蛇きゅうり(スネークキューカンバー) | 細長くねじれた形状が特徴 |
アフリカンホーンきゅうり | 先が尖った角のような形状で、食感も特徴的 |
ミニキューカンバー | 親指サイズの小型品種、一口で食べられる |
ギガントきゅうり | 50cm以上に成長する大型品種 |
大和三尺きゅうり | 名前の通り三尺(約90cm)以上になる日本の伝統品種 |

世界のきゅうり料理|国ごとの食べ方紹介
きゅうりは、世界中で愛されている野菜のひとつです。
国や地域によって、さまざまな食べ方があり、その食文化に根付いた特徴的な料理もあります。
アジアのきゅうり料理
- 中国:「たたききゅうりの和え物(拍黄瓜)」が代表的です。
にんにく、ごま油、酢、唐辛子などを使ったピリ辛味で、前菜として人気があります。 - 韓国:「オイキムチ」と呼ばれる、きゅうりを使ったキムチがあります。
中ににんじんやニラなどを詰めて発酵させた、さっぱりとした副菜です。 - 日本:生でサラダや酢の物として食べられるほか、ぬか漬けやかっぱ巻きなど、和食との相性も抜群です。
ヨーロッパのきゅうり料理
- ギリシャ:「ジャジキ(Tzatziki)」と呼ばれる、ヨーグルトときゅうり、にんにくを混ぜたディップソースがあります。
肉料理やパンと一緒に食べるのが一般的です。 - ポーランド・ロシア:「冷製きゅうりスープ(オグルキ・スープ)」や「ラッソーリニク」と呼ばれるピクルス入りスープがあり、暑い時期にぴったりです。
- イギリス:「きゅうりのサンドイッチ」は、アフタヌーンティーの定番メニュー。
薄切りのきゅうりとバターをパンで挟む、シンプルながら上品な一品です。

中東・アメリカのきゅうり料理
- 中東地域:ヨーグルトときゅうりのサラダ「カチュンバル」や、先述の「ジャジキ」に似た料理がよく登場します。
- アメリカ:サラダによく使われ、輪切りやスティック状でドレッシングと一緒に食べるのが一般的です。ピクルスの使用頻度も高く、ハンバーガーには欠かせません。
きゅうりと文化・行事|日本と世界に根付く“野菜以上”の存在
きゅうりは単なる野菜ではなく、各地で文化や行事と深く結びついています。日本をはじめ、世界でもさまざまな風習や信仰に登場します。
◆ 精霊馬(しょうりょううま)
お盆の時期に、きゅうりは「精霊馬(しょうりょううま)」として使われます。
これは先祖の霊があの世とこの世を行き来するための乗り物とされ、きゅうりは“馬”、**なすは“牛”**を表します。
「早く帰ってきてね」という願いを込めて、足の速い馬に見立てたきゅうりが使われます。
◆ きゅうり加持(きゅうり封じ)
きゅうりを使った厄除け祈祷のひとつで、きゅうりに自分の病気や災いを封じ込めて、川や土に流すという伝統行事です。
特に真言宗などで行われる風習で、きゅうりの浄化作用に願いを託したものです。
◆ 食べてはいけない地域や時期も?
・京都の八坂神社の神紋(木瓜紋)は、きゅうりの断面に似ているため、祇園祭の期間中にきゅうりを食べない風習があります。
・福井県の網戸瀬町では、「きゅうりを育ててはいけない」という風習が今も残っています。
◆ 河童ときゅうりの関係
日本では、河童の好物=きゅうりとされ、「かっぱ巻き」や「かっぱ漬け」の名前の由来にもなっています。
昔から子どもにも親しみやすい野菜としてイメージされてきました。

【生食・漬物・彩り別】きゅうりのおすすめ品種一覧
目的 | 品種名 | 特徴・用途 |
---|---|---|
生食を楽しみたい方へ | 四葉(すうよう)きゅうり | 市場でよく見かける標準的な品種、バランスの良い味わい |
ブルームレスきゅうり | 表面の白い粉(ブルーム)がなく、そのままサラダに最適 | |
フリーダム | イボがなくてなめらかな表皮、皮ごと食べやすい | |
漬物作りを楽しみたい方へ | 地這(じばい)きゅうり | 皮が硬めで歯ごたえがあり、漬物に最適 |
加賀太きゅうり | 肉厚で大型、ぬか漬けや浅漬けに向く | |
ピクルス専用品種(コルニションなど) | 小型で表皮が厚く、漬け込み向き | |
料理の彩りを楽しみたい方へ | 白いきゅうり(白イボきゅうり) | 淡い色合いで料理に涼しげな印象を与える |
レモンきゅうり | 丸くて黄色い見た目が特徴、サラダの彩りに最適 | |
メキシカンソウアガーキン | 表面が特徴的で、ピクルスにすると見た目も美しい |
きゅうりは目的に合わせて品種を選ぶことで、料理の幅も育て方の楽しさもぐっと広がります。
以下の一覧では、用途別におすすめの品種をまとめました。ぜひ品種選びの参考にしてみてください。
よくある質問(FAQ)
- 初心者でも育てやすいきゅうりの品種はありますか?
-
ブルームレスきゅうりやマーケットモアなどが育てやすく、病気にも強いため初心者向けです。
- 甘みがあるきゅうりの品種はどれですか?
-
ミニきゅうりやレモンきゅうりは甘みが感じやすく、サラダにもぴったりです。
- 夏の暑さに強い品種は?
-
四葉きゅうり(すうよう)やマーケットモアは暑さに強く、夏でもよく育ちます。
- 家庭菜園で苦味の少ないきゅうりを育てたいです。おすすめは?
-
ブルームレスきゅうりやミニきゅうりは苦味が少なく、家庭菜園でも食べやすいです。
まとめ:自分好みのきゅうり品種を見つけよう
きゅうりには実に多くの品種があり、それぞれに個性的な特徴と美味しい活用法があります。
✓ 日本の市場では「四葉」や「ブルームレス」などが主流ですが、各地には伝統品種も数多く存在します
✓ 海外には、ピクルス専用の小型品種や長大な品種など、用途に合わせて進化した種類があります
✓ きゅうり選びは、生食・漬物・彩りなど目的に応じて選ぶのがポイントです
✓ 世界の料理文化にも、きゅうりの多彩な魅力がしっかりと根付いています
家庭菜園で育てるもよし、食卓にバリエーションを加えるもよし。
ぜひ、あなたにぴったりのきゅうりを見つけてみてください。
次回は【初心者からできる!オーガニックきゅうりの育て方完全ガイド】で、これらの品種を実際に育てるためのコツをご紹介します。お楽しみに!



ガーデンスプラウト
「My Organic Veggie Life」運営者・オーガニックライフナビゲーター
長い海外生活を経て、現在は日本で植物と動物に囲まれた暮らしを楽しんでいます。
家庭菜園やオーガニックライフのヒントを、ブログで発信中。
今後はYouTubeでもお届け予定です。